医療法人財団献心会 川越胃腸病院 TEL:049-225-6888(代)eメールはhospital@kib.or.jpまで

当院の診療対象となる疾患

T.消化管(食道、胃、十二指腸、小腸、大腸)の疾患

食道の疾患

1)食道癌
 食事のさい食物がつかえるなど、いわゆる嚥下障害を訴えて受診される 方がほとんどです。水物よりも、ご飯など固形物がつかえる方が多いようです。ご飯が胸につかえ、お茶で流しこまないと胃に入らないと訴えられる方もいます。比較的高齢者に多く、50歳代以降は加齢とともに急激に増加し、ピ−クは60歳代と言われていますが、70歳代でもよく見られます。喫煙や飲酒、極端に熱いものや辛い物による食道の刺激などが誘因の一つとされていて、そのため女性よりも男性に4〜5倍多いとされています。
 食道癌は内視鏡検査で容易に診断がつきますが、5年生存率(5年間、生きられる確率)が全体で15〜30%とされ、比較的予後の悪い病気の一つとされています。症状が出る前に、早期に発見することが何よりも重要です。
2)逆流性食道炎(胃食道逆流症)
 逆流性食道炎の主な症状は、胸からみぞおちにかけてヒリヒリ痛む、いわゆる「胸焼け」です。特に明け方に多く、中には胸がヒリヒリ痛くて目が覚めると訴える人もいます。
 食道と胃の境は食道―胃接合部とよばれ、括約筋が発達しています。括約筋の機能により、胃内容物が食道に逆流しない仕組みになっていますが、高齢者や、腰が曲がってお腹を圧迫しているような方では括約筋機能がうまく働かず、とくに睡眠中に胃液が食道に逆流して、食道炎を起こすとされています。また、胃を手術された人、特に胃の全摘手術を受けた人では、括約筋機構が障害され、胃酸の他に胆汁などが逆流して、食道粘膜に障害をおこし、逆流性食道炎が起こるとされています。
 診断は内視鏡検査を行い、食道―胃接合部付近の食道粘膜に炎症所見がないかを観察します。
 逆流性食道炎と診断がつけば、内服薬で症状がかなり改善することが多いので、胸焼けなどがある方はぜひ診察時にご相談下さい。
3)食道静脈瘤

4)その他
 その他の食道の疾患として、憩室、アカラシア、など聞き慣れないものがありますが、いずれも珍しい病気で、実際の診療でも問題となることはあまりございません。

胃の疾患

1)胃癌
 胃の疾患のなかで重要なのは、なんといっても胃癌です。
 胃痛や胃もたれ、胃の不快感、膨満感、吐き気、食欲不振など自覚症状は様々ですが、早期胃癌では殆んど症状がありません。
 諸外国に比べて日本人に多く、国民病とさえ言われています。胃癌の死亡率は年々減少し、男性の癌死亡率の中では肺癌に次いで2位になりましたが、女性では依然として1位です。
 胃癌は早期で発見されれば治癒率は極めて高く、ほとんどの施設で5年生存率が90%を超えています。一方、進行癌になると、5年生存率は50%にも満たなくなり、中でも、リンパ節転移や肝臓転移などがあり、手術でも完全に取りきることができないIV期癌では、5年生存率は10%以下とされています。胃癌を完全に治すには、早期癌のうちに発見することがまず重要です。
 胃癌の危険因子としては、塩分の多い食べ物や喫煙などの生活習慣が知られていますが、最近ではヘリコバクター・ピロリ菌の感染も危険因子の一つとされています。40歳代頃から増え始める傾向があると言われていますが、若い人にはできないという訳では決してありません。当院でも過去約30年の間に、20歳代の胃癌の患者様を10人経験しております。
 胃癌の治療の基本は手術により病巣を完全に取り除くことですが、ごく小さな癌で、明らかにリンパ節転移がないと判断されるような場合は内視鏡的に切除することもあります。最近、胃癌に対しても抗癌剤が投与されるようになりましたが、胃癌はどちらかと言うと、抗癌剤が効きにくい癌の一つで、少なくとも外科的に切除をしないで、薬だけで治せるほどの抗癌剤は、今のところ残念ながらありません。
2)胃潰瘍
 胃潰瘍は日常、頻繁に診療する疾患の一つです。
 心窩部(みぞおち)の痛み、胃の不快感、吐き気などを訴えられる方が多いようです。また、潰瘍が胃の上部にある場合、胸の痛みとして自覚され、時々、狭心症とまちがえられることもあります。潰瘍がかなり深くえぐれている場合は、背中に向かって痛みが走ることもあります。
 胃も主な働きは、胃の細胞で作られる胃酸の力によって食物を消化することです。胃では、別の細胞からネバネバした粘液を分泌し、胃の粘膜自体が消化されないようにして胃を守っています。ところが、何らかの原因で胃酸が過剰に分泌されたり、あるいは胃酸の分泌は正常でも、粘液の産生が低下したりして、相対的に胃酸の力が粘液の力を上回ると、胃の壁が消化されてしまい、潰瘍ができます。胃潰瘍も十二指腸潰瘍も、直接的には消化液(胃酸)により粘膜が消化されて潰瘍ができますので、合わせて消化性潰瘍と呼ばれています。
 胃酸が優位となる原因は様々で、肉体的、精神的ストレスも原因の一つとなります。注意しなければならないのは、整形外科や内科で痛み止めや解熱剤としてよく処方される消炎鎮痛剤です。消炎鎮痛剤の多くは、胃の粘液の産生を低下させ、さらに胃の粘膜も弱くさせて胃潰瘍を引き起こすといわれています。
 もともと胃が丈夫でない、お年寄りなどが、胃が突然激しく痛んだり、ひどいときには吐血したりして受診された場合、腰痛や膝痛のため処方されていた鎮痛剤が原因で、胃に大きな潰瘍ができていることがよくあります。リウマチなどで長い間、消炎鎮痛剤を飲まれているような方も要注意です。
 最近では、胃の粘液や粘膜に生息しているヘリコバクター・ピロリという細菌も潰瘍の原因として注目されています。ピロリ菌が作り出すさまざまな物質によって、胃の粘膜が炎症を起こし、胃潰瘍の発症しやすい下地を作ると言われています。 他に煙草も胃の粘膜の働きを悪くさせ、潰瘍を作る原因になるという論文が世界中から数限りなく提出されています。
 潰瘍の治療の基本は薬物療法です。最近では胃酸の分泌を抑えることにより潰瘍を効果的に治す、いわば消化性潰瘍の特効薬が発売されています。劇的なまでに潰瘍が治ることから、最近では潰瘍の治療として手術を行うことはまずなくなりましたが、潰瘍が穿孔したり、潰瘍からの出血が内科的にコントロ−ルできなかったりした場合は手術となることもあります。
 ただし、潰瘍が発生する源を断たなければ、潰瘍はすぐに再発します。潰瘍を根本から治すには、ピロリ菌感染が明らかであれば除菌療法を行ったり、ストレスが原因であれば心身を安静にしてストレスを開放したり、さらに暴飲暴食を避け、たばこを控え、睡眠も十分に取るなど基本的な生活習慣を正す地道な努力が必要です。症状が改善したからといって、自己判断で薬の服用を勝手に止めては絶対にいけません。
 潰瘍と胃癌の直接な因果関係は現在のところ否定的です。ただし、初期の状態では胃潰瘍と胃癌はなかなか判定が困難なことがあります。明らかに癌ではなく、良性の胃潰瘍と診断されれば、胃潰瘍そのものはそう深刻な病気ではありませんが、きちんと定期的に検査を受け、医師のアドバイスを受けて下さい。
3)(慢性)胃炎
 慢性胃炎も日常、多く診療する疾患の一つです。
 胃潰瘍とおなじように、心窩部(みぞおち)の痛み、胃の不快感、吐き気などを訴えられる方が多く、症状だけではなかなか区別がつきません。内視鏡で観察すると、胃の粘膜がただれていたり、発赤が散在していたりなど、胃が持続的に炎症にさらされていた所見が観察されます。
 慢性胃炎の原因は、暴飲、暴食による胃の酷使や、薬ののみすぎ、煙草の吸いすぎなど胃への負担の掛け過ぎなどが言われてきましたが、最近では、胃に生息するピロリ菌が、いろいろな意味で注目されています。つまり、ピロリ菌が排出する毒素によって胃に慢性的な胃炎を起こり、慢性胃炎がさらに進行する過程において胃潰瘍や胃癌などが発生すると言われています。
 ピロリに感染している人、特にピロリ菌感染によって萎縮性胃炎といわれる状態にある人では、感染していない人よりも明らかに胃癌の発症率が高いことから、世界保健機関(WHO)でも「ピロリ菌は胃癌の確実な発癌因子である」と警告しています。
 慢性胃炎は安易に考えられがちですが、慎重に経過を観察することが重要です。
4)胃ポリ−プ
 粘膜が腫瘍性にイボ状に突出しているのをポリ−プと総称しています。ポリ−プは、胃や大腸、胆嚢などの消化器の他に、声帯など体中のあちこちにできます。、形や大きさは様々で、悪性、良性いずれもありうるのですが、一般的には良性という意味合いを込めて使用しています。
 胃のポリ−プは、悪性化、つまり癌化することはほとんどないとされています。明らかに良性と診断されれば放置していてかまいませんが、組織学的に悪性化の可能性のあるもの、増大傾向のあるものは切除する必要があります。
 現在のところ、ポリ−プを効果的に治す薬はありません。
5)その他の胃の疾患
 胃の疾患として、他に胃憩室、胃石、クロ−ン病、肉腫などがありますが、いずれも比較的まれな疾患です。

十二指腸の疾患

胃の疾患

1)十二指腸潰瘍
 胃潰瘍の項で述べましたが、十二指腸潰瘍も基本的には胃潰瘍と同じで、胃酸により、十二指腸の粘膜が消化されて発生します。
 胃潰瘍の多くは、ピロリ菌や消炎鎮痛剤により、胃の粘膜の働きが低下して起こりますが、十二指腸潰瘍は、ストレスなどで胃酸やペプシンなどの消化液の働きの過剰となり起こることが多いとされています。そのため、ストレスに過敏な若い人に多く見られます。
 症状も胃潰瘍と同じように、心窩部(みぞおち)の痛みを訴えられる方が多いですが、胃潰瘍が食後に症状が出現することが多いのに対し、十二指腸潰瘍では空腹時に症状が強く、食事をとると症状が和らぐのが特徴です。
 十二指腸潰瘍にも制酸剤がよく効きますが、薬を勝手に止めると、よく再発します。根治するには日常の生活からストレスを避けるなど地道な努力が必要です。潰瘍と正しく向き合い、上手に薬を使うのが一番良い方法だと思われます。
 胃潰瘍の項目も参照して下さい。
2)その他の十二指腸の疾患
 十二指腸のその他疾患として、十二指腸ポリ−プ、憩室などがありますが、臨床的に問題となることはあまりありません。十二指腸にも当然、癌や肉腫など悪性の疾患がありますが、胃癌に比べると頻度はわずかだとされています。

小腸の疾患

1)クロ−ン病
 小腸に特徴的な病気としてクロ−ン病があります。
 クローン病は消化管に広範に炎症や潰瘍を起こし、下痢や腹痛、発熱、全身倦怠感、血便、などを生じる病気です。胃や大腸など消化管のどの部位にも起こりますが、小腸の末端部が好発部位で、主として10歳代〜20歳代の若年時に発症することが多いとされています。
 原因としては、遺伝的なものという説、細菌やウイルスの感染によるという説、免疫系の異常によるという説などいろいろありますが、いずれもはっきりと証明されたものはありません。
 クローン病の治療は、いまだに根本的な治療法がないのが現状です。また、再燃・再発を繰り返し、完全な治癒は困難であることから、いわゆる難病として、特定疾患に指定されています。
2)腸閉塞
 腸の内腔が詰まり、食べた物や便、ガスが通過できなくなってお腹が張り、苦しくなる病気です。
 一番多いのは、胃の手術など、お腹の手術を受けた人で、腹腔内で腸管同士が癒着したり、腹壁の傷と腸が癒着して起こる、いわゆる癒着性腸閉塞です。退院した当初は誰しも食事には十分、気を遣いますが、慣れたころにうっかり暴飲、暴食したり、食べ慣れない物を食べたりすると、それをきっかけに起こることが多いとされています。そのため、手術後、普段の生活に自信が持てはじめた丁度1年目ごろに、腸閉塞が一番多いと言われています。1年目の次に多いのは手術して10年目ごろです。10年も経つと、もうさすがに安心だろうと思い、気を許してつい、、、というケ−スが多いのです。開腹手術の既往のある人は、食事には十分、気をつける必要があります。
 軽いうちでしたら、入院して絶食にし、点滴で栄養を補給するなどして数日ので治りますが、放置すると、閉塞した腸が血行障害をおこして腐ってしまい、緊急手術が必要になるなど大事に至ることがあります。
 手術の既往がないのに腸閉塞をきたした場合は、小腸や大腸の癌、ポリープなどの「できもの」が原因であることが多いので注意が必要です。他に内科的な病気(糖尿病、腎不全、内分泌の病気、薬の副作用など)でも起こることがあります。
 いずれにしろ、腸閉塞は、重大な病状の前触れであることが多いので、上記の症状があれば、すぐに食事をやめ、病院を受診することが必要です。
3)その他
 小腸にも癌や肉腫などの悪性疾患、ポリ−プなどの良性疾患がありますが、胃癌や大腸癌と比べると、頻度は少ないと言われています。その他、メッケル憩室、非特異性多発小腸潰瘍症などいろいろありますが、頻度が少なく、臨床的に問題となることはあまりありません。

大腸の疾患

1)大腸癌
 大腸癌の原因は肉食にあるとされ、世界最大の食肉消費国であるニュージーランドは大腸癌の発生率でも世界一と言われています。現在、日本人の食生活も欧米化され、肉の消費が増えています。それに伴い大腸癌の発生率は急激に上がり、厚生労働省の統計によると、1999年には大腸癌による死亡者数が35,000人を超えて30年前の約8倍に達しています。 日本人の癌としては現在のところ肺癌が死亡率のトップですが、近い将来に大腸癌がトップになると予測されています。
 大腸癌は比較的治りやすい癌で、きちんとした治療を受ければ早期癌では90%、進行癌でもリンパ節転移がなければ80%近い治癒率があるとされています。
 また早期癌の中には手術をせず内視鏡的に切除することが可能のものもあります。
 大腸癌でも早期発見、早期治療が大切です。
 そのためにも便潜血反応など大腸癌検診は進んで受けるようにして下さい。
 ただし便潜血反応検査は本来、消化管の出血を調べる検査ですので、癌があれば必ず陽性になるというわけではありません。逆に言えば、検査で陰性であれば癌ではない、と言うわけではありません。検査で陰性でも、お腹に違和感がある、便通がおかしいなど自覚症状があれば、早めに受診されて下さい。
2)大腸ポリ−プ
 大腸はポリ−プのできやすい臓器です。便潜血反応検査が陽性のため、精密検査の目的でお見えになった方でも、一番多く発見されます。
 大抵の大腸ポリ−プは良性ですが、中には癌化するものがあり注意が必要です。特に2 cmより大きいポリ−プはすでに一部が癌化していることがあり、切除が必要です。2cm未満でも、細胞の異形度が強いポリ−プは切除の対象となります。また、良性とはいえ、ポリ−プもあんまり大きく育ちますと、内視鏡的に切除することが困難にることがあるので、早めに切除されるほうが得策です。
3)腸炎
 腸に炎症がおこり、その結果、下痢や腹痛を生じる病気をまとめて腸炎と呼んでいます。
 一般に急性腸炎と言われているものは、細菌またはウイルスが腸管へ感染し、腸の粘膜に炎症をおこすことによっておこる感染性腸炎と、それ以外の非感染性腸炎に分けられます。細菌として有名なものは、伝染病を引きおこす赤痢菌やO−157、コレラ菌です。また、食中毒の原因としてサルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌、カンピロバクター菌なども知られています。ウイルスとしては、腸管で増殖するエンテロウイルスがよく問題になりますが、乳児に下痢を起こすものとしてロタウイルスも有名です。ウイルスによる腸炎は季節的に流行するのが特徴です。
 非感染性腸炎には、抗生物質などの薬剤の不適切な投与によるものや、癌の治療のために行う放射線照射によるものなどがあります。特定の食物によるアレルギーや、アルコールの暴飲などによっておこる下痢も非感染性腸炎に分類されています。
 他に特殊な腸炎として、次ぎに述べる潰瘍性大腸炎や過敏性腸症候群があり、比較的患者さんも多い病気です。
4)潰瘍性大腸炎
 潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に広い範囲でびらんや潰瘍ができる病気で、大腸の炎症性疾患のなかで最も重要な病気の一つです。どちらかと言うと欧米人に多い病気(米国では日本より10倍多い)とされていますが、日本でも最近、増えつつあると言われています。
 特徴的な症状は、下痢がいつまでも続くことで、ひどい時には下血や腹痛を伴うこともあります。当院でも、他の病院で治療してもらっているのに、なかなか下痢が治らないからと受診される方がほとんどです。
 発症年齢のピークは男性で20〜24歳、女性では25〜29歳とされていますが、中学生からお年寄りまで、どの年代でも発症します。男女比は1:1で性別に差はありません。親子や兄弟など家族内で発症することがあり、原因の一つとして遺伝的因子の関与が考えられていますが、現時点では遺伝に関する明解な回答は得られていません。遺伝的要因と食生活などが複雑に絡み合って発病するものと考えられています。膝など全身の関節に痛みがくる関節リウマチと同じように、自己免疫疾患の一つではないかという意見もあります。
 診断は大腸内視鏡検査で比較的簡単につきます。内視鏡で腸のびらんを観察し、組織の一部を採取して病理検査を行うことで確定診断がつきます。
 治療の原則は薬物療法ですが、治療によって症状が消失したり(緩解)、そうかと思うと、再び症状が悪化したり(再燃)、と再燃と緩解を波のように繰り返しますのもこの病気の特徴です。
 現在のところ、潰瘍性大腸炎を根本的に治す薬はありませんが、腸の炎症を効果的に抑え、緩解の期間を少しでも長く維持できるように、根気強く治療を続ける必要があります。
5)過敏性腸症候群
 脳と胃腸は自律神経によって直接つながっています。そのため胃腸は神経や精神の作用を強く受け、「考える臓器」とさえ表現されています。過敏性腸症候群は、不安や精神的ストレスなど、いわば脳で処理すべき問題が原因で、胃腸に異常な働きが起こり、様々な症状を引き起こす病気です。
 症状は両極端で、腹痛を伴うほどの頑固な便秘を訴える人もいれば、仕事が出来ない程の下痢に悩む人もいます。まれに便秘と下痢を交互に繰り返す人もいます。便秘や下痢の他には、ガスがたまる、吐き気、嘔吐、疲労感、頭痛、発汗、動悸などの症状を訴える人もいます。
 腫瘍や潰瘍、びらんといった目に見える異常が原因で起こるわけではありませんので、症状は深刻でも、注腸バリウム検査や大腸内視鏡検査など、腸の検査を行っても異常所見が指摘できないのが普通です。
 治療は便秘や下痢などの消化器症状を取り除く薬物療法が基本ですが、何よりも、根本的な原因となる不安や精神的ストレスを取り除くことが大事です。また、少しでも、症状が改善するように、偏った食事や暴飲暴食を止め、バランス良く食事をとるなど食生活に気を配ったり、なるべく過労を避け、軽い運動やスポーツを実行するなど規則正しい生活を心がけたりすることが大切です。
6)急性虫垂炎
 俗に「盲腸」と言われている疾患です。腹部の所見が軽い時は、抗生物質などの点滴で経過をみることもありますが、腹膜炎を併発しているなど、明らかに進行している状態と判断されれば手術が必要です。
 典型的な症状は右下腹部の痛みですが、まず、心窩部(みぞおち)や臍(へそ)の回りの痛みで始まり、しだいに右下腹部へと腹痛が移り、嘔吐や発熱を伴ってくるのが一般的です。そのため、最初は「胃が痛い」と病院にこられる方がほとんどです。
 10〜30歳代の男性に多いとされていますが、幼児からお年寄りまで、どの年代でも発症します。欧米の白人に多いことから、高タンパクで、線維成分が少ない食事が原因になるとされていますが、今のところ明らかに証拠のある原因はわかっていません。


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