病院の役割・基本方針は適切な内容で明文化されているが、入院案内にも記載し、患者への一層の周知に努められたい。病院の役割と将来計画については、長年にわたり専門性の高い医療提供体制を構築する中で、地域における医療ニーズを把握するなどして将来計画が策定され、職員に周知されている。病院管理者・幹部は業務全般について強いリーダーシップが発揮されている。病院の組織運営は計画的に実施され、組織内の情報伝達も適切に行われているが、毎月の理事会議事録の適切な整備が望まれる。情報管理機能は組織が機能し、個人情報の守秘を確実にしている。関係法令の遵守については、法令で求められている委員会の構成員について十分な配慮が望まれる。
職員の教育・研修については、設置後間もない教育研修委員会の今後の活動に期待したい。医療サービス改善活動は、平成13年より、医療サービス対応事務局が設置され、積極的な活動を展開しており評価したい。地域医療連携室は医療相談業務と兼務の状態であり、効果的運営について適切な検討を期待したい。広報活動については、ホームページに極めて豊富な情報を提供していることは評価できるが、定期的な見直しもなされたい。
患者の権利は明文化され、職員には周知されている。患者・家族に対してもホームページなどによる周知の努力はみられるが、病院案内・広報誌などによる周知も行われたい。職業倫理、臨床における倫理などは適切に明文化され、職員に周知されている。患者−医療者のパートナーシップに関しては、組織的な検討がなされ具体化されている。説明と手順についても手順が明示され、適切に実施されている。
患者の安全確保については、医療事故防止に関する方針・指針が策定され、事故防止に向けた組織的かつ積極的な活動がみられ評価できる。ただし、リストバンド装着対象者の明確化や指示出し・指示受け業務については見直しが望まれる。医療事故発生時の対応もリスクマネージメント委員会、医療サービス対応事務局との連携で、組織横断的に実施する体制の整備がなされ適切である。病院感染管理については、マニュアルの整備などは適切であるが、院内感染防止委員会の構成員を見直されたい。また、病院感染に関する情報の分析・評価は適切に行われているが、情報の把握は週単位で行い、早期の対策が望まれる。職員に対する病院感染管理に関する教育、感染予防策は適切に行われている。
接遇と案内は毎年の接遇教育の実施、病院管理者・幹部の指導により適切な対応が確認され、評価したい。外来待ち時間の対応は、毎年定期的な調査・分析により適切な配慮がなされている。相談機能は今後の課題と見受けられたが、貴院の特性に応じた体制を整備され、潜在的な患者の相談に対応できるよう期待したい。患者・家族の意見の尊重は、20年を超える外来・入院患者の満足度調査をはじめ、意見箱や職員の声などを多岐にわたる手段で吸収し、医療サービス対応事務局で管理し、改善結果などを院内掲示、ホームページなどにより適切に広報している実績は極めて高く評価できる。患者や面会者の利便性には適切に配慮されている。
入院案内は記載内容の見直しの検討が進められているが、十分検討され早期の活用が望まれる。外来・入院患者のプライバシーには適切に配慮されているが、採血室についての工夫が望まれる。療養環境の整備は全体的として適切に行われている。禁煙については全館禁煙が徹底されているが、患者に対する啓発などにさらなる努力を期待したい。入院患者に対する快適性の配慮は、全般的におおむね適切である。
診療部門は、診療上の基本方針や目標および医師の管理・責任体制などが明確にされており、体制は確立している。病院の機能よりみれば、麻酔科医、病理医、放射線科医の不足は否めないが、全体としてそれを補うだけのチーム医療と個々の医師の意識の高さがうかがえた。単科病院であるが、必要な連携機能は確保されている。医師の評価システムやその活用は、長期にわたり適切な運用実績があり、高く評価したい。看護部門の理念・目標は明確であり、個々の職員を活かす適切な組織運営がなされている。また、看護職員に必要な教育・研修が積極的に行われ、看護の質改善への努力も認められた。さらに、KOMI理論を展開した記録システムの活用など意欲的な姿勢も見られた。
薬剤部門は休日・夜間の麻薬保管庫の鍵管理や入室規程の明確化が求められる。臨床検査部門、画像診断部門、輸血・血液管理部門、手術・麻酔部門、中央滅菌材料部門などは、おおむね適切に運営され、多くの消化器手術、内視鏡検査などの実績を残している。貴院は脳死下の臓器提供を行う施設ではないが、急性期病院としてドナーカード保持者に対する病院の基本方針・手順を整備し、職員への周知が望まれる。栄養部門は適切に運営されているが、図書室機能、診療録管理部門については、さらなる整備が望まれる。外来部門は体制も確立しており、おおむね適切に運営されている。
病棟において看護の基本方針・目標は掲示により明確にされているが、診療についても他職種に理解されるような方策が望まれる。医師・看護師の役割と責任体制については、明確にされている。入院の決定と説明も適切に行われている。患者に関する情報の確実な伝達では、指示出し・指示受け・実施の一連の業務のプロセスにおいて、伝達エラーが生じないよう指示簿の様式の見直しが望まれる。評価(アセスメント)が適切に行われ、多職種が参加して計画が立てられている。また、計画の作成には、患者・家族の意見が反映され、必要な場合には見直しが行われている。
ケアの実施では、入院生活が適切に支援され、診断的検査が確実・安全に実施されている。患者に対する服薬指導も適切に行われているが、注射薬の調製・混合については、薬剤師のさらなる関与が望まれる。栄養管理と食事指導は適切に行われている。リハビリテーションについては、療法士は配置されていないが、看護師による気功を含むリハビリへの適切な取り組みがみられ評価したい。身体抑制では、実施・解除手順についての見直しが望まれる。療養の継続性、終末期ケアの実施、逝去時の対応などは適切である。病棟で実施されている使用済み器具類の一次洗浄については感染対策の視点から検討を求めたい。診療・看護の記録は適切に行われ、評価システムが確立している。また、病棟は安全で快適に保つための努力がなされている。
人事管理体制は、おおむね適切に整備されている。特に人事考課については、賃金管理研究所との共同研究により質の高い制度を作り上げ、長年有効活用されていることは高く評価したい。職員の労働安全衛生への取り組みについても、おおむね適切であるが、法定の健康診断等の完全実施が望まれる。財務・経営管理は適切に行われているが、単科の病院として疾病別の原価計算の導入によりさらなる経営の効率化を期待したい。医事業務はレセプトチェックシステムを開発し効果を挙げている。また、未収金は少額であり、査定・返戻率も低く適切な医事業務が行われている。
施設・設備は整備課が管理している。医療機器等の管理は適切に行われているが、給食設備に関しては、調理室内の温度が高く、清潔区域の明確化や笊などの保管状況の見直しが求められる。物品管理はおおむね適切であるが、適正な在庫管理のため半期ごとの実地棚卸しが望まれる。業務委託、災害発生時の対応などは適切である。また、訴訟対応についても、必要時には顧問弁護士の参画も確保される仕組みが確立しており、体制が整えられている。
以上
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