医療法人財団献心会 川越胃腸病院 TEL:049-225-6888(代)eメールはhospital@kib.or.jpまで

2002年(第1回)更新審査結果総括

1.病院組織の運営と地域における役割

 病院組織の運営と地域における役割については、院長を中心に職員がよくまとまり、現状を把握し問題点の認識も十分に行われ、全般的に良好な状況にあるものと評価したい。
 貴院の理念・基本方針は、経営理念、基本方針、行動指針、病院憲章、医の倫理綱領などから構成されているが、指針類が多すぎて患者にとってはわかりにくい印象がある。一連の文章を見直し、患者にわかりやすく、説明しやすい内容に検討し、整備されたい。また、病院の理念・方針を院外に浸透させるための一環として、広報誌の発行についても検討されたい。
 病院管理者・幹部は、病院の運営上の問題点をよく把握し、中・長期計画においても、新外来棟の建築、診療科目の充実、駐車場の増設などに指導力を発揮されている。しかしながら、患者の権利についての指導力発揮の点では検討の余地が残る。今後、患者にわかりやすいパンフレット類の整備、患者の権利尊重を記載した入院案内の作成、入院誓約書における「診療に異議を申しません」などの患者の権利を粗末にするような文章の削除などについて指導力の発揮を期待したい。
 組織規定の中では、組織図の見直しを図り、実態に即した組織図を作成されたい。
 事業計画には、経営者が各部署責任者と面接し、意見を反映させる仕組みが整備されている。
 情報管理機能の整備と活用については、担当者も明確で、医療実績も把握され院内にフィードバックされている。患者の個人情報守秘も一応明文化されているが、適正な運用には至っていない。
 関係する法令については、施設基準を含めて遵守されており、文書も適切に整備されている。
 職員の教育・研修も計画に沿って職種ごとに実施されているが、出張や研修の報告書提出状況にばらつきがあるので、規程に従って報告書が提出されるよう努められたい。
 医療のサービス改善活動は、TQC活動に端を発し、現在もTCS活動として継続されており、各種の委員会活動とともに評価したい。
 保健・医療・福祉施設との連携については、担当者がおり、紹介・逆紹介を受けた機関の記録はあるが、各機関別の紹介人数などの詳細な記録が認められない。月間、年間の機関別の紹介・逆紹介患者数の統計資料を作成し、病院運営のなかで活用されたい。
 地域に開かれた専門病院として、講演会、医療教室に参加し、自院での開催も積極的である。今後、広報誌を発行し、院内の情報がさらに地域に広報されるよう積極的な取り組みを期待したい。

2.患者の権利と安全の確保

 患者の権利と安全の確保については、おおむね良好であるが、患者の権利を尊重する方針を明確に表した指針が認められない。患者の権利について、病院案内、病院憲章、医の倫理綱領、ホームページなどに部分的には含まれている。しかし、患者の権利の具体的内容を患者が見やすいように工夫されているとは言い難い。早急な改善が望まれる。
 患者の安全確保について、病院全体で取り組んでおり、職員の研修・教育も充実している。その結果、アクシデントレポート・インシデントレポートも収集されている。さらに、それらの資料の分析、対策も理論的手法によりなされており、十分に評価できる。今後は制癌剤を含む医薬品の配合禁忌、過量投薬防止対策にも努められたい。
 患者に対する院内感染対策はおおむね良好であり、院内感染発生件数も少なく、評価したい。今後は類似医薬品の採否基準の確立、スタンダードプリコーションに基づく手術・検査時の除毛の基準についても検討を希望したい。
 職員の事故防止対策にも取り組まれているが、針刺し事故後におけるHCV・HIVへの対策が立てられていない。その点の検討が望まれる。

3.療養環境と患者サービス

 療養環境と患者サービスについては、多くの項目で適切との評価となった。
 接遇と案内では、接遇教育は初任時にマニュアルで教育されている。事務系では自主的なグループ活動として接遇の勉強会が持たれており、事務職員の接遇態度は優れており、好感が持てた。今後、管理職や全職員への継続的教育の実施を期待したい。職員の紹介については、医師だけでなく各部門の責任者についても玄関ロビーのわかりやすい所に掲示され、責任の所在を明確にされたい。
 院内掲示物については、中に文字の小さいものもあり、統一性がなく、配置についても美観を損なわない配慮を期待したい。
 医療相談については、入院案内や広報誌などへ記載されたい。兼務の事務職員が2名で対応しているが、件数も多く、心理面への相談が十分とはいえず、今後、専任のMSWの採用についても検討されたい。
 患者家族の意見の尊重は適切であった。
 利便性とバリアフリーでは、入院患者の利便性では面会時間の終了時間が少し早いように見受けられた。玄関でのスリッパ履き替えやトイレでのスリッパ履き替えについては、バリアフリーに関して若干の問題が認められる。浴室では入り口の段差や、個室のユニットバスの段差と浴槽の深さについて配慮と工夫を期待したい。プライバシー保護では外来診察室は扉があったが、処置室はオープンである。
 療養環境の整備ではほぼ適切であるが、医局における医師の分煙が徹底されていない。
 快適な療養環境では、車椅子専用トイレの設置について配慮されたい。浴室については段差・深さについて工夫を期待したい。

4.診療の質の確保

<診療体制の確立と各部門の管理>

 診療体制の確立と各部門の管理については、おおむね適切に整備されている。
 医師の人事考課は、評価項目に基づいて行われ、その結果は当事者に通知されており、適切である。
 診療録の管理については、必要な人員を配置し、有資格者を育成し、さらに傷病名・手術名・処置名の統一コードを導入し、それらにより診療情報検索をより円滑にすることをしていただきたい。退院時サマリーは、外来カルテには添付されてはいるが、退院カルテにも添付されていることが望ましい。
 臨床検査部門、放射線部門、薬剤部門ともに、夜間・休日における院内緊急時に対応できる体制(人員・機器)を整備されるように検討されたい。
 医薬品管理はおおむね良好であるが、内服の向精神薬は鍵をかける等、管理方法について検討されたい。
 血液管理は良好である。ロット番号の記載を見やすいように工夫されたい。
 救急部門がないので"NA"とした。しかし、実情は在宅療養中の患者の急変時には対応しており、今後は夜間・休日の緊急対応体制についても検討されたい。
 リハビリテーション部門がないので"NA"とした。術後の臥床患者等に対するリハビリテーションの必要性は十分認識されており、院外から気功インストラクターの招聘も行われており、一定の効果を見ているとのことである。今後はリハビリテーション要員の採用についても検討されたい。

<適切な診療活動の展開 −ケアプロセス1−>

 医師による入院患者の医学的管理はおおむね良好であった。診療録をみて、診察の頻度と記載、入院診療計画書の作成、必要検査・輸血・手術の承諾書と立会い看護師の記録、手術記録、諸検査の記録とその解釈など迅速になされていた。指示とその伝達も多くは転記作業がなく、適切と判断した。
 病棟における麻薬・向精神薬・血液の管理は適切に行われていた。注射薬の個別セット作成も薬剤師により病棟内で指示箋からの転記もなく行われており適切である。
 病理の報告が検査後1か月を要している症例がある。治療方針の決定にも影響する可能性もあり、遅滞なく迅速に結果を得られる方策を検討されたい。
 栄養指導の件数が少なく、管理栄養士の患者への積極的な関与が期待される。
 行動制限については、該当する事例がないので"NA"と自己評価されているが、急性期病院といえども行動制限の事例発生は予測される。事例の発生に備えての対応はあらかじめ準備する必要があり、病院の方針、手順については、早急に対策を講じていただきたい。

5.看護の適切な提供

<看護体制の確立と組織管理>

 看護部門の組織の確立では、病院の理念に沿った看護部門の理念が明示され、職員への周知も適切である。目標管理については、看護部門の理念に沿った目標が立てられているが、各職場単位での目標はなく、個人としての目標が立てられている。組織図上に示された各職場単位での目標の立案と定期的な評価・修正について、今後の検討を期待したい。
 看護部門の組織運営については、看護部組織の整備、役割ごとの業務規程の整備など適切に整備されているが、今後、看護業務に専念できるように他部門との業務連携について見直されたい。
 看護部門の職員の能力開発については、職員の能力評価基準は他職種とは別個に、看護専門職としてのレベルの基準も加味されたものを考慮されたい。能力評価プログラムは、新人とスタッフに分けて立案されているが、年間を通じて両者が一覧できるような計画表として作成されたい。レベルアップの視点での教育は、院内では無理であり院外教育に求められているので、年間の受講予定表を作成され、それらを含めた年間教育プログラムとして作成するよう期待したい。

<適切な看護活動の展開 −ケアプロセス1−>

 適切な看護活動については、おおむね適切に展開されている。
 看護の実践と責任体制では、基準・手順は委員会などで定期的な見直しを行い、修正月日を記載されたい。医師の指示に基づいた医療行為の反応を観察し、必ず記録を残すように努力されたい。
 看護活動の計画的対応では、看護計画が3種類の方法で実施されているが、どの計画においても立案前に身体的・社会的・精神的視点からアセスメントされ記録を残されたい。
 行動制限(抑制・拘束)への配慮では自己評価"NA"であったが、一般病院であっても急性期では避けられないこともあり、いつでも実施できる体制が必要であり、病院の方針としての考え方を明示し、手順書を早急に作成されたい。
 看護の継続性の確保では、それぞれの部署から外部機関と連絡がとられているが、病院として一本化し、必ず記録を残されるよう見直されたい。

6.病院運営管理の合理性

 胃腸科専門病院として、特色を踏まえた病院運営が計画的に実施されている。とくに、人事考課で、面接により考課実績の理由説明を行い、職員の意欲を引き出すように行われている。就業規則・給与規程も整備され、職員にも周知されており、適切である。就業状況の中で、年間就業時間が全ての職種で統一的に1880時間とされているのは、実態から見てやや不自然な印象である。また、有給休暇取得率にも職種間でばらつきがある。検討されたい。
 労働安全衛生委員会は設置されているが、活動が消極的である。議事録の作成、事故発生時の対応手順など整備されたい。職場環境は、職員専用の食堂、休憩室、更衣室も整備されており、適切である。
 財務管理は、担当者も明確にされ、病院会計準則に基づいて適切に運用されているが、予算書の作成時期について、少なくとも前年度期末までに作成されたい。資金管理、経営管理は、院内理事会、幹部合同会議で審議、決定されており、適切である。
 医事業務については、常に、合理的業務の推進の工夫がなされ、未収金、返戻、査定率も適切に把握されている。病床管理については、空床状況、待機患者も一元的に把握されているが、効率的な病床運営を行うためには、委員会組織の設置についても検討されたい。
 施設、設備管理は、ほぼ適切な状況であるが、手術室の機器類について整備課との連携強化を図られたい。  給食は外部委託であり、契約書も整備され、連携体制も良好であるが、天井部分、空調吹き出し口付近の清掃状況が十分とは言い難い。衛生管理に十分な配慮を望みたい。
 保安体制は整備課が主管となり、マニュアルもあり適切に運営されている。
 各種廃棄物の院内での管理状況も良好で、委託業者の手で処理され、最終処分場までのマニフェスト記録は適切に保管されていることが確認できた。
 物品購入のダブルチェック制、在庫管理も毎月末に実施されており、適切である。
 業務委託も、年間計画表により計画的に行われ、その評価も適切である。業者社員も病院職員と同様に教育し、事故発生時の対応マニュアルも作成されている。
 医療事故による訴訟は発生していないが、発生時の対応については検討され、マニュアルも作成されている。

以上


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